Re:忘却の彼方

美しいから飛べるんです、飛行機は。

Restart

芸能人の斜め上からのエッセイが大嫌いだ。

大小少なからずドラマにできるよな出来事は一般人の誰にだってあるし、

ハワイやら海外で

『ここが第二の故郷なんです』的な

写真なんかまでつけたり、

マタニティヌードやら

壮絶な半生を

『私生きてます!』的に語ったものやら

結婚したての女子にありがちな

『私今幸せなんです』全開のお花畑脳みそをまざまざと見せつけられたところで

だから何よ?

以外に感想なんてないのよね。

でもそんな芸能人のエッセイ嫌いの私が

AV女優麻美ゆま

自叙伝だけは予約してまで買った。

理由は

境界性悪性腫瘍の闘病から復帰した時に彼女が

『楽しいことをすると細胞が喜んでる気がするんです。あぁ私は生きていると。』

と言っていたから。

この本にはネガティブな部分はなかった。

必要な部分を淡々と、

そして惜しげもなく自分の人生を晒していた。

どんなに後ろを向いていて、

どんなに絶望的な状況でも、

彼女は最後に必ず前を向く。

彼女にあるのは

年老いた母親への想いと

他界した父親と兄への想い、

年の離れた姉への感謝の気持ち。

自分を支えてくれる周囲への思いやりと

前を向く強さだ。

言葉全てが真摯で素直でとても優しかった。

私ならとっくにめげていたであろうことすら、

彼女は明日を生きる糧にしていた。

偏見と病と私は戦って行きたい。

と堂々と言った彼女のかっこよさに

泣いた。

AV女優という仕事に

全身全霊で挑み続け、

8年間もトップにい続ける麻美ゆまの言葉に、

納得せざるを得ない内容だった。

『エロ』以外の印象を与えてしまったので

AV女優としてはもう失格、

と書いてあったが、

AV女優としてはもう無理かもしれないが、

彼女にはずっと表舞台にいてほしいと思った。

そしてずっと生きていてほしいと思った。